人間模様を味わい深く描く串田作品の稽古場では、演劇的な常識にとらわれず、これまでの経験や見てきたものなど丸ごと試されるような感じがある。共演者たちが試行錯誤する姿にも刺激を受け、「今はいろいろ試してみよう、いろいろ失敗してみようってパワーをもらっています」「うまくやろうという欲は捨てて…」と話す横顔が、不器用だけれど輝くフラッパーたちに重なる。
生バンドによる約30曲が全編を彩り、大東や串田、新聞記者役の石丸幹二ら俳優も劇中のバンド「オーケストラ“ラ・リベルテ”」で管楽器を鳴らす。バンドを率いる音楽監督は、松の夫、佐橋佳幸とDr.kyOnのユニット「ダージリン」。舞台では夫婦初共演だ。
「稽古段階を見られるのはとても複雑でしたが、お互いやることだらけで、大変忙しいので」と笑顔をみせた。
■3月2日まで。問い合わせはBunkamura(電)03・3477・3244。長野、大阪公演あり。