大きな文字や写真が目を引く。本全体を覆うカラフルな帯を付ける新書が増えている【拡大】
各社が競って派手な帯をかかげる背景には、縮小が進む新書市場への危機感がある。出版科学研究所によると、平成24年のノンフィクション系新書の推定市場規模は198億円で前年に比べて14%ほど縮小した。25年の実績も「前年比で10%ほど落ち込む可能性が高い」(同研究所)という。ただ昨年もポプラ社やイースト・プレスをはじめ新規参入が相次ぎ、新刊点数自体はほぼ横ばいになるとみられる。売り場の争奪戦は激しさを増し、内容だけでなく見た目でも差別化が求められている。
仕掛ける本 選別を
出版事情に詳しいライターの永江朗さんは、一連の帯の流行について「売れ筋の本をさらに伸ばすには有効な手段」と認めながらも一定の節度が必要だと指摘する。「あまりに全面帯の数を増やすと、統一フォーマットでコストを抑えて利益を出す新書ビジネスのうまみが減ってしまう。効果を持続させるには仕掛ける本を的確に選ぶ出版元の目が重要になるだろう」