兵庫県明石市が4月から離婚などの相談に訪れた人に配布する子供の養育プランと合意書。離婚で“置き去り”にされる子供を泣かさないための全国初の取り組みだ【拡大】
ただ同市の担当者は「用紙の配りっぱなしになることは避けたい」と話す。そこで、記入の“特典”として、面会交流の際に親子で利用できる市内の公共施設の無料ペア券贈呈も検討している。さらに、将来のトラブルに備えて合意書を公正証書にしてもらうよう、作成費用の助成も視野に入れている。
さらに、相談体制も充実させる。従来の弁護士による法律相談と、同市が雇用している弁護士や臨床心理士ら専門職による相談に加えて、毎月1回、元裁判所の調査官らで作る「家庭問題情報センター大阪ファミリー相談室」による相談も始める。
また、市の相談窓口では、調停申し立てを検討している父母に、申立書の配布や作成支援を行う。希望があれば、5月から市役所に設置される法テラス分室の弁護士への取り次ぎも行う。
家庭はもはや「安住の地」ではない
もちろん、行政が夫婦関係に介入することには異論もある。それでも泉市長は「従来、日本社会には『法は家庭に入らず』という考え方があったが、2000年代に潮目が変わった」と意に介さない。