兵庫県明石市が4月から離婚などの相談に訪れた人に配布する子供の養育プランと合意書。離婚で“置き去り”にされる子供を泣かさないための全国初の取り組みだ【拡大】
その理由の一つとして、泉市長は、家庭内での虐待や暴力が増え、子供にとって家庭が安住の地でなくなったことを挙げる。また、以前は家庭内で発生した問題を、親族や地域がケアする面もあったが、家庭を取り巻く環境が大きく変化し、その機能が発揮されなくなったことも大きいという。
「家庭に身近な行政が、家庭にしっかりと関与し、支えていく時代が始まった」と泉市長は言う。同市だけの取り組みで終わらないよう、書式をホームページで公開し、他の自治体に活用されることを念頭に置いている。支援を拡充させるため、養育費建て替え制度の導入も検討しているという。
この取り組みについて、早稲田大の棚村政行教授(家族法)は「離婚や別居時の、(1)相談体制の充実(2)参考書式の配布(3)関係機関の連携-という3つの柱で、離婚後の子供の問題について自治体が支援しようとする画期的な支援策だ」と評価。そして、「他の自治体もできるところから支援体制を充実させ、子供の幸せのための取り組みが全国で広がってほしい」と期待する。