■普及するコンピューターナビゲーションシステム
高齢化とともに股関節や膝の関節の痛みを訴え、歩行が困難になる人が増えている。重症になれば、患部を人工関節に入れ替える外科手術を行う。その治療技術は進歩し、コンピューターの支援で正確、安全に手術ができるナビゲーションシステムが普及し始めた。専門家は「手術の精度が高まり、早期回復が果たせる。不具合による再手術も少なくなるはず」と期待しており、注目が集まっている。(坂口至徳)
1ミリも誤差なし
股関節や膝の関節の痛みは加齢などが原因で、関節を構成する脚の骨と受け皿の骨との間を埋める軟骨が減るなどして直接にこすれる形になって生じる。ひどい痛みや歩行障害がある重症の場合、外科手術で、特殊な合金やセラミックスでできた人工関節に換える。しかし、挿入の角度が数度、位置が数ミリずれるだけで、装着している間に脱臼したり、不具合が生じて再手術したりすることがある。
開発されたナビゲーションシステムは、あらかじめ手術する関節部分をMRI(磁気共鳴画像装置)などで画像データを取っておき、それを基に3次元のCG画像を作って綿密な手術の計画を立てる。手術の際は赤外線照射で人工関節の位置や角度を測り、そのデータをCG画像に重ねて表示するため、計画通りの正確さで手術できる。