このシステムをいち早く導入している「りんくう総合医療センター」(大阪府泉佐野市)の薮野亙平(やぶの・こうへい)・人工関節センター長は「角度で1度、位置で1ミリの誤差も出ないので経験が少ない医師でも確実に手術が行えます」と話す。ただ、装置は高価で、システムに慣れるまで時間がかかるため、導入している病院は数%とまだ少ない。同センターでは平成24年に導入し、今年3月までに人工股関節などの手術を130件(再手術は除く)行った。合併症が出たのは脱臼のわずか1件だった。
手術時間も短縮
68歳の女性は、生まれつき股関節に軽い脱臼があり、加齢とともに左側の股関節が変形し、歩行が不自由になった。家族の介護をしていることなどの事情から、人工関節の置換手術を受け、通常の動作ができる状態に短期間で回復する必要があった。女性はこのシステムを使った約1時間半の手術を受け、成功。翌日から歩行補助ロボットを使ったリハビリを行ったところ、歩行可能になったという。