この十数年で損害率が急速に悪化したのは、損保各社では関与できない日本社会の構造変化がある。
具体的には、先進国の中で最も進む高齢化と、若者の雇用の不安定化などだ。内閣府によると、総人口に占める65歳以上の割合は約24%と4分の1を占める。高齢化が深刻化する一方、デフレ不況による就職難、非正規社員の増加など若者の所得減少やライフスタイルの多様化が自動車分野、自動車保険にもたらした影響は小さくない。
世界の自動車販売台数は昨年まで4年連続で過去最高を更新しているが、日本はマイナス成長が続いている。昨年の国内販売は約537万台とピーク時(約780万台)に比べ約3割ダウン。日本の自動車メーカーは「環境」「安全」といった業界共通の開発課題に加えて、構造変化による「ドライバーの高齢化」「若者のクルマ離れ」という日本特有の“壁”に直面している。これらが高齢者による事故件数の増加と、若者の自動車保有率の低下などにともなう保険料収入の減少につながり、損害率を押し上げているというわけだ。