5年ぶりに参考純率の引き上げを発表した損保料率算出機構は、被保険者の年齢別区分も算出。「29歳以下」と「70歳以上」は各20%以上(普通小型車の標準モデル)と大幅に引き上がる一方、「50~59歳」は0・4%にとどまっており、高齢者と若者の事故率の高さを考慮した数値となった。
「自動車保険のボリュームは大きく、短期、中期的に少子高齢化の影響は限定的だろう」。ある損保会社の担当者はこう推測する。トヨタ自動車など自動車メーカー各社は若者が魅力を感じるクルマづくりとともに、自動運転など事故を減らすための安全技術の開発に取り組んでおり、これも損保各社にとっては心強い動きだ。
とはいえ、自動車保険料の値上げが今後も続けば、若者を中心にクルマ離れが加速する可能性もある。言い換えると、ドライバーの中心はますます高齢者となり、それにあわせて事故の件数は増加するはずだ。
SMBC日興証券株式調査部の丹羽孝一シニアアナリストは「自動車保険は、年金や医療などの社会保障と同じように、相互扶助の世界で成立している」と指摘する。損保各社では年齢別にきめ細かな保険料を設定するが、それでもさらなる値上げについては細心の注意が必要だろう。