小さな字がびっしり並んだ小林さんの手帳。行間に必死さがにじむ【拡大】
■情報伝え、励まし、寄り添い、支える
認知症だと知らされたときの本人や家族への支援が不足していることは、家族の間では「常識」だという。
「認知症の人と家族の会」の高見国生代表理事は「初期は特に本人も混乱するし、家族もどうしていいか分からない。医療機関が手を放さず、寄り添わないといけないのに、『1年後にまた来てください。進行の度合いを見ます』では、告知は早期絶望にしかならない」と批判する。
早期診断が可能になっている一方で、決定的な治療法がないことが問題を複雑にしている。だが、病気が分かった時点でソーシャルワーカーにつなぎ、家族会や認知症カフェの存在が分かるだけでも家族には足掛かりになる。介護保険や障害者手帳、人によっては障害年金などの情報も必須だ。
高見代表理事は「医療機関は告知と一緒に、どんな支援があり、どう生きていったらいいかを伝えないといけない。それができれば告知もそんなに怖くなくなる。だが、それにふさわしいサービスが整っていない。初期や若年性への対応を進めないといけない」と指摘する。