この店の一番人気は3枚980円の和柄ハンカチ。カラフルな鼻緒が付いたげた1000円も「日本にしかない」と売れている。やりとりは中国語や英語だ。「欧米からのお客さんは自分用にじっくり気に入ったものを選ぶが、中国や東南アジアの方は家族や友人に配るのでしょうね。一度に5000円ほど使う人もいますよ」。
表通りに面した青果店では、ピカピカに磨き上げられた柿のカゴ盛りに「Don’t touch、請勿摸商品、触らないで!」と英語、中国語、日本語の3カ国が並んだ手書きの注意書きが付いていた。「ベタベタ触られると痛んで商売にならないからさ。外国人だけじゃないよ。日本人も触る。不公平だから日本語以外の言葉でも書いたの」と店主はこともなげに話した。
これまで外国に縁がなかった人でも、商売に直結すれば嫌でも外国語を使うようになる。日本人客と違うニーズを知れば自然と視野が広がり、海外の文化や国民性に対する理解が深まる。その積み重ねはいつか日本の安全保障や世界の安定につながるのではないか。
グローバル化とは日本人が海外に出ていくことだけではない。浅草周辺の土産物店にはその兆しが芽生えつつあるようだ。