腸管出血性大腸菌は、牛の腸にいる菌で少ない菌数でも食中毒を引き起こす。重症になると、溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症を併発することもある。感染した人の便などから二次感染することもある。
事件後、厚労省はユッケについて、表面を加熱するなどの規格基準を設定。しかし、生レバーは加熱以外に肝臓内部の殺菌は不可能なため、「生で安全に食べる有効な対策がない」として、提供を禁止した。
その一方、食中毒のリスクの高さでは牛と同等かそれ以上とされる豚の肉やレバーの生食は、法律で規制されていない。寄生虫などがいる豚肉はもともと「よく焼いて食べる」ことが常識とされ、生食が想定されていなかったためだ。
しかし、牛レバーの生食提供が禁止された後、その代替として豚の肉やレバーを生食で提供する飲食店が増加。25年夏に全国の自治体が実施した取り締まりでは首都圏を中心に190施設にのぼっていた。