『だからこそ、自分にフェアでなければならない。プロ登山家・竹内洋岳のルール』小林紀晴著(幻冬舎・1300円+税)【拡大】
竹内自身も、2005年、34歳の時に登ったエベレストで、脳血栓により突然倒れました。「死んでいくところを記録しろ」と仲間に告げたのは、見殺しの憶測を防ぐため。2007年7月には、ガッシャブルムII峰で巨大な雪崩に巻き込まれ、約300メートル落下。共に登っていた3人のうち、ひとりは死亡し、ひとりは行方不明になりました。背骨を折ったものの竹内だけが生還できました。
なぜ、日本人で竹内だけがこの記録を達成できたのか、なぜ、命を落とすことなく生還しつづけたのか。本書は、その理由を写真家の小林紀晴が探ったルポルタージュです。「何かが決定的に違うはずだ」と。そのために小林がとったのは、10時間に及ぶインタビューに加え、実際に竹内と一緒に「天狗(てんぐ)岳」に登ることでした。小林の精緻(せいち)な筆致で、竹内の言動が拾い上げられていきます。