【書評】『毒殺 暗殺国家ロシアの真実』 (1/2ページ)

2014.11.29 14:10

 ■言論の自由の抑圧に警鐘

 2000年8月、ロシアの原子力潜水艦クルスクの沈没事件で、その乗組員の救出を海軍当局に大声で迫った母親の後ろから若い女性がそっと注射針を刺した。すると途端に、その母親はぐったりと倒れ込んでしまった。それが鎮静剤なのか、はたまた猛毒なのか、われわれには知る由もないが、世界を震撼(しんかん)させた瞬間だった。こうした国家テロの犠牲者は数多く、通常は全国的に知れ渡った著名な政治家、政治犯罪の秘密を掘り起こしている民主派ジャーナリストたちであった。

 本書によると、革命直後のソ連において、目的のために手段を選ばないという恥ずべき原則を確立したレーニンは、ルビヤンカに毒物を研究する秘密の「生物培養特務室」を1921年に創建。ソ連の科学を総動員して、殺戮(さつりく)を自然死のように思わせる毒物を開発した。その材質や体内注入方法は実に多種多様であった。死因ならびに毒物タイプの確定を困難にするためである。やがて「正体不明な毒殺」つまり、呼吸器系を狙って殺す方法、放射性物質による毒殺へと進展していく。

ロシアの実情を認識する格好の書

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