「ポップ中毒者最後の旅」川勝正幸著(河出書房新社)【拡大】
■知識の海を縦横無尽に
読み終えるのにかなり骨が折れた。何しろ380ページほどのほぼすべてに余白がなく、端まで活字でびっしりと埋め尽くされている。その膨大な文字量は、映画、音楽、アートに漫画、書籍、ラジオ番組と、あらゆるポップカルチャーに関する著者の幅広い知識の海を縦横無尽に泳ぎ回っていて、これらの文化事象に関心はあるもののあまりよく知らない当方などは、おぼれずについていくのもおぼつかないありさまだった。
まずもって興味の対象の広さと深さに驚かされる。映画について言えば、デニス・ホッパーとデイヴィッド・リンチに相当な執着と敬意を抱いているのがうかがわれるが、同時に「スター・ウォーズ」や「いちご白書」、さらに著者いわく「ヌケないAVを撮る男」平野勝之監督の「監督失格」にまで及ぶ。音楽の分野でも、小泉今日子、クレイジーケンバンドに真保☆タイディスコ(このくだりはまるでちんぷんかんぷんだった)と、映画評論や音楽評論などそれぞれの専門家でもここまで探求している人は少ないのでは、と思われるほどの博覧強記ぶりだ。