【書評】『通訳日記 ザックジャパン1397日の記録』矢野大輔著 (2/2ページ)

2014.12.13 11:25

 ザックは本田の思わぬ発言に戸惑う。就任以来、ピッチを広く使った攻撃を説いてきたからだ。味方同士が接近し狭い空間で球を交換すれば、フィジカルで勝る相手に押さえ込まれてしまう-。こうしたザックの言い分に、本田らが異を唱えた格好だ。

 「これまでの3年間は一体、何だったのか。私のコンセプトに従えないなら、私が監督を続ける意味はない」

 怒りを隠せぬザックの様子が綴られている。最初から順を追っていけば、すれ違いの兆しが読み取れるだろう。

 「選手たちは狭い空間に入り込んでしまう…」

 矢野通訳が何度もボヤいていた。W杯の前後に喧伝(けんでん)された“日本のサッカー”とは、何だったのか? そんなことまで考えさせられる。

 似て非なる2つのサッカーが交錯しながらW杯で惨敗。結局、未消化に終わったオリジナルの3-4-3システムも含め、名将の企図したサッカーは空転してしまう。

 敵は我にあり-。

 これこそ、本音渦巻く日記が伝える“ザックジャパンの真実”かもしれない。(文芸春秋・1500円+税)

 評・北條聡(週刊サッカーマガジン元編集長)

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