『三つ星料理人、世界に挑む』奥田透著(ポプラ社・1300円+税)【拡大】
また、EUには鰹節(かつおぶし)を輸出できない。燻(いぶ)す工程がある鰹節の発がん物質ベンゾピレンが、EUの基準値を上回るからだ。東北の大震災後、日本の食材には放射能検査が行われ、1週間空港で足止めされるのも痛手だ。奥田氏はパリで安倍晋三首相と会食をした際に鰹節と魚の話を訴え、さらには晩餐会(ばんさんかい)でオランド仏大統領にも訴える機会を得て、解決に向かって動き続ける。
2014年、OKUDAはミシュランの一つ星を得た。予約客でもないのに「店を見たい」という人が多いそうだ。1日30人も来たこともあり、つくばいや床の間の季節の掛け物を見て、感嘆の声をあげるという。日本料理店が果たす、料理以外の役割も、ここには示唆されている。(ポプラ社・1300円+税)
評・石塚晶子(フリー編集者)