【江藤詩文の世界鉄道旅】マレー鉄道(3)楽しみな“食堂車での一杯”は、まさかの「全車飲酒禁止」 (2/3ページ)

2015.1.25 18:00

ディナーはセットメニューのみで7種類と意外と品揃えが豊富。ほかに2人分の高級料理「シーフードセット」もある。写真はスタンダードなセットで170バーツ(約650円)

ディナーはセットメニューのみで7種類と意外と品揃えが豊富。ほかに2人分の高級料理「シーフードセット」もある。写真はスタンダードなセットで170バーツ(約650円)【拡大】

  • この夜でただ1組デリバリーを注文した3世代の親子連れ。だいたい4席に1台くらいの割合で天板が座席の下に用意されていて、必要なときは乗務員がテーブルをセッティングしてくれる
  • とってもひまそうな食堂車。折りたたみのイスはガムテープで修理され、テーブルクロスはクリップで大雑把に止められていた。調理場にはシェフがひとりきり。スープやカレーは大鍋から盛りつけるだけだが、炒め物はその場で調理してくれる
  • ごはん売りと麺売りはそうそうに売り切っていなくなり、最後まで残っていたのが菓子を売っていたこの男性。ぽそぽそと口当たりが悪く酸化した油がにおう残念な味。タイ人の子どもにも「いらない!」と言われてしまった
  • 衝撃的だった「アルコール禁止」の表示。乗客はみんなちゃんと遵守している。世界を放浪しているというウクライナ人の男性バックパッカーふたり連れが持ち込んだ酒を飲もうとして、周囲から注意を受けていた

 期待していた物売りは、バンコク出発時に炒めたご飯や麺といった簡単なパックを売りに来たものの、売り切れじまいでたちまち姿を消した。ほとんどの乗客は、夕食と朝食の2食分の弁当や水筒、菓子類を大量に持参している。

 このままでは酒が飲めないどころか、食事にもありつけなくなりそうだ。食堂車に向かおうとすると、相席の若いお母さんが必死に引き止める。「食堂車は値段が高すぎる。物売りから買うほうがマシだし、売り切れていたら分けてあげますから」。

 「この人、食べるものがないんですって」と、周りの乗客から食べ物を集めようとするお母さんを必死に押しとどめ、なんとか食堂車へ駆け込んだ。通りすがりに客席をのぞくと、麺売りが来たらしき車両ではみんなが麺を、ごはんを持った物売りが乗った車両では揃ってごはんを食べているのがおかしい。

 ひまそうな食堂車では、乗務員が食卓に座っておしゃべりに興じていた。今夜、食事をとりに来た客は私がふたり目。客席にもデリバリーしていて、1組にすでに配達を済ませたらしい。

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