東京五輪の招致プレゼンで評判になった「おもてなし」。ただ英国人の著者の目からは、飲食店や旅館をはじめ日本企業は供給者の都合を客に押しつける傾向が目立つという。こうした内外の認識のずれは、日本が誇る伝統工芸技術や和食の世界展開でも顕著だ。
著者は外資金融大手でアナリストを務めた後、京都の老舗文化財補修会社の社長に転身した異色の人材。日本が高い潜在力を秘めながら低迷している根源は、組織の指導者が「数字に基づいた分析と、細かい改善をしない」からと喝破する。深い愛着に基づく厳しい指摘と、建設的提言の数々は必読。(デービッド・アトキンソン著/講談社+α新書、840円+税)