「ウェン ザ ナイト ハズ カム~」
そこそこ混雑した車内で、指を鳴らす音と共に、突然アカペラのハーモニーが響いた。音楽に詳しくない私でも口ずさめる、聞き慣れたこのメロディ。「スタンド・バイ・ミー」だ。
歌っているのは、初老の黒人男性5人組。ニューヨークではよくあることで、まったく無視してスマホに没頭している人もいれば、いっしょにハミングする人、知らん顔をしつつ足や指先でリズムを取る人などさまざまだ。
このグループは、ドゥーワップのストリートミュージシャンとして活動しているらしい。「ボンッ ボンッ ドゥワ ボンッ ボンッ」という低音のリズムに合わせて、のびやかなハーモニーが耳に心地よく響く。
そういえば、天井が低くて薄暗い駅構内では、黒人男性パフォーマーたちが華麗なダンスを披露して、観客を釘付けにしていた。駅で歌ったり踊ったりするためにオーディションがあり、合格しなければパフォーマンスすることは許されないそうだ。10代と20代の若者グループで、プロのダンサーを目指しているという。