単に地下鉄で移動するだけでも、プロ顔負けのダンスや歌、弦楽器の合奏などに触れられるなんて。ここは世界のエンターテインメントの頂点に君臨する都市なのだと実感する。
そんな彼らの活動を支え、勇気づけているのは周囲の乗客たちだ。びっくりするくらい多くの人が、小銭を渡しては声をかけて行く。車内でも、リードボーカルの男性に次々と1ドル札が集まった。
「サンキュー、サンキュー」と言いながら、映画「ベイマックス」でおなじみのグータッチをするミュージシャン。もうすぐ近くにやって来る。私もニューヨーカー気分を味わいたくて小銭入れをのぞくと、なんと5ドル札しか入っていない。しょうがない、大盤振る舞いだ。5ドル渡してグータッチをしてもらう。
すると一瞬の躊躇を読み取ったのか、「おつりだよ」と、くしゃくしゃの1ドル札を4枚手渡された。こんなことってあるのだろうか。ミュージシャンたちは歌いながら、悠々と去って行った。
■取材協力:デルタ航空
■江藤詩文(えとう・しふみ) 旅のあるライフスタイルを愛するフリーライター。スローな時間の流れを楽しむ鉄道、その土地の風土や人に育まれた食、歴史に裏打ちされた文化などを体感するラグジュアリーな旅のスタイルを提案。趣味は、旅や食に関する本を集めることと民族衣装によるコスプレ。現在、朝日新聞デジタルで旅コラム「世界美食紀行」を連載中。ブログはこちら