ルツェルン中央駅から、ピラトゥス山のふもとにあるアルプナッハシュタット駅までは、ツェントラル鉄道に乗ってわずか20分弱で到着する。
走りはじめてものの5分もすると、車窓には「あぁ、スイス」と、ため息をつきたくなる風光明媚な光景が、どこまでも続いている。 検札に来た車掌が、「いい旅を!」と声をかけていく。いわく、こんなにカラリとよく晴れた気持ちのいい日に、ピラトゥス山まで出かけられるあなたは幸運に恵まれている。山頂で飲む地元のビールは、さぞおいしかろう、と。
旅人へのもてなしとして、みんなに同じようなことばをかけていたものの、そう言われて気分が悪いはずがない。すっかりテンションが上がった。
左手にきらきらと輝く湖水を愛でつつ、浮かれた気分のまま、アルプナッハシュタット駅の2番ホームに降り立った。目の前には、木の質感を生かした“アルプスの山小屋”風の「ピラトゥス駅」と、山肌のグリーンによく映える赤色のかわいらしい小さな登山列車。ピラトゥス鉄道の乗り場は、すぐそこ、1番線の後ろに見えている。