「日本のデザイナーはこちらのブリーフィングを無視して提案してくる。ブリーフィングとは何かを分かっていない!」
イタリアのあるメーカーの社長の嘆きと怒りである。
以前、ぼくは日本でブリーフィングについてインタビューを受けたことがある。“ブリーフィング”とは何を説明するものか?を明確にしたいとのことだった。“ブリーフィング”が日本のビジネス社会で十分に合意されているとは言い難く、そこから生じる不具合を解消していきたい、と。
冒頭のエピソードはインタビューの問題意識が正しいことを物語っている。
“ブリーフィング”は簡単な事情説明や報告と考えられている。が、インタビューで特に話題になったのは、何らかのプロジェクトを進めたいと考えるビジネスパーソンが他人に仕事を依頼する際、自分の考え方をどうまとめ、仕事をアイテムごとにどうブレイクダウンして説明するか、である。
ぼくは欧州と日本のビジネスシーンをみていて、「自らの要望とその背景の説明」における両者の乖離にはいつも気になる。
業務の内容をはっきりと言語化する習慣があるアングロサクソン系のビジネス文化のなかでは、仕事の説明はこういうものだという枠組みが比較的はっきりしている。
契約書が重んじられるのは、堅苦しいことに拒否感がないからではなく、そのようなカタチをとらないと理解し合ったことにならないとの了解があるからだ。