井上さんは東京工業大学大学院を卒業後はセコムの研究所に勤めた。その後、エキサイト、ヤフージャパン、バイドゥと転職を重ねた。セコム以外のキーワードは「検索エンジン」である。彼は根っから検索エンジンというものが好きだ。ヤフージャパンを辞めたのも、検索エンジンを自社開発しなくなったからだ。
バイドゥに転職したのも検索エンジンに惹かれた。しかし、中国本社とのビジネス土壌の違いから散々な経験をする。ストレスフルな生活から離れる決意した彼は、同時に「自分が嫌な仕事は手掛けない。気が重くなるような相手とは仕事をしない」会社をつくろうと思った。
ヤフー時代の同僚2人と創業した経緯である。現在6人でビジネスをまわしているが、小さい集団の方が迅速に動けて質の高いアウトプットが出せると、会社のサイズをみやみに大きくする必要を感じていない。
「日本国内で検索エンジンのエキスパートは100人もいない」というなかで優秀な人材を既に抱え、大手のECサイトを顧客にもつダントツの集団の対抗馬は現在のところ国内にいない。同社の優位性が「下請け的」契約書を拒否できる立場を確保しているのは確かであるが、井上さん自身の人生観が色濃く出ている点は見逃せない。
初期開発には半年程度は要するが、そのリスクはすべて自社でもつ。クライアントは文句の言いようがない。いざ稼働となる時に前払い請求してもスムーズだ。いつでも嫌な相手と縁の切れる条件になっているが、この約5年間、一度も解約はない。そして利益は十分に出ている。
ライフスタイルも自由だ。
「時間、お金、場所に縛られたくない」と強調する。