スピードが速くてついていけない、木の枝があれば手当たり次第に振り回す、ポケットに石ころが入っている。こんな男児ならではの行動に悩まされる母親は多い。「異性」であるわが子を理解できないという母親の心理を反映してか、最近は「男の子の育児」をテーマにした本の出版が増えている。男児を持つ母親の心得を聞いた。(中井なつみ)
行動が読めない
「息子にはすぐ怒ってしまう」。さいたま市に住む女性会社員(29)は、3歳になった長男の行動パターンが読めず、手を焼いている。自身が3人姉妹の長女として育ったため、水たまりで泥まみれになるまではしゃいだり、すぐに乱暴をしたりする長男の行動が理解できない。走り回る長男を追いかけても、足が速くて捕まえられない。「6歳の長女のときはこんなに大変じゃなかった。毎日驚くことばかり」
こうした母親に向け、最近は「男児の育て方」をテーマにした本の出版が相次いでいる。出版科学研究所(東京都新宿区)によると、平成23年以降、男児を対象にした子育て本が増えてきた。27年に出版された男児の育児をテーマにした本は、女児の育児に関する本の約3倍。育児関連本約100冊を扱う三省堂書店神保町本店(千代田区)の雨宮雅美さんも「男児をテーマにした本は、女児のものに比べて2倍以上の品ぞろえがある」という。