「パチンコしか行き場がない。それ以外、生活に刺激がないんだ」。停止措置を受けた60代の男性は、市の担当者にこんな心中を語った。この男性のように社会から孤立化し、パチンコなどにおぼれる高齢受給者は少なくない。
国はそれを「黙認」してはいないか。逼(ひっ)迫(ぱく)する財政事情の中で、浪費を許さない地域住民の感情は根強い。ジレンマに立たされた自治体は別府市だけではない。
長野恭紘市長(40)は言葉を強めた。「生活保護法の条文には、パチンコを『だめ』とする根拠はない。だが、『良い』という根拠もない。今後は、国で議論を深め、結論を示してもらいたい」
東京都江戸川区の住宅密集地にある「葛西荘」。生活困窮者らが一時的に身を寄せる「無料低額宿泊所」と呼ばれる施設だ。NPO法人「エスエスエス」(台東区)が運営している。無職の荒井利夫さん(77)が生活保護の受給を始めたのを機に、その一室に移り住んだのは2月のことだ。8畳間をカーテンで仕切り、50代の男性受給者と2人で使う。