一般的にファッションデザイナーはアートの動向に敏感である。プロダクトデザインに鈍感とは言わない。が、アートを見るようにはプロダクトを見ない。さらに言うと、プロダクトデザイナーがファッションデザインを見るような熱い視線で、ファッションデザイナーはプロダクトデザインに関心を寄せない。
ファッションデザインは一瞬が勝負だ。街で通りを歩く女性のファッションが目の片隅に入ったところで、記憶に残ってもらわないといけない。だからプロダクトよりも「きれい」「センスいい」と言われる反応も速くないといけない。
それでも村田さんはコンテンポラリーアートの展覧会に足を運ぶだけでなく、ミラノデザインウィークの会場をまわり、プロダクトデザインから発信されるヒントにも貪欲だ。
最近読んだ本は?と尋ねると、「人工知能の本が面白かったですね。ファッションの世界のどこに人工知能が活用でき、どこに活きないか。そんなことを考えています」との返事。
学習のためのインハウスデザイナーとしてのキャリアの終点が、そろそろ目に見えてきた頃ではないかとぼくは想像した。何をさらに掴み、何はこれ以上学んでも仕方がない。そんなことが分かってきた頃ではないか、と。
(安西洋之)
ローカリゼーションマップとは? 異文化市場を短期間で理解するためのアプローチ。ビジネス企画を前進させるための異文化の分かり方だが、異文化の対象は海外市場に限らず国内市場も含まれる。
安西洋之(あんざい ひろゆき) 上智大学文学部仏文科卒業。日本の自動車メーカーに勤務後、独立。ミラノ在住。ビジネスプランナーとしてデザインから文化論まで全方位で活動。現在、ローカリゼーションマップのビジネス化を図っている。著書に『世界の伸びる中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』 共著に『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力』。ローカリゼーションマップのサイト(β版)とフェイスブックのページ ブログ「さまざまなデザイン」 Twitterは@anzaih