職員数は約40人。このうち検査課に所属する全16人が市場が開いている日に毎日、場内を見回っている。男女比はほぼ半々という。
午前4時から、まず2人1組が場内を回る。同8時からは6組12人で仲卸店舗に陳列された商品の表示が適正かどうかをチェックし、温度管理が必要な水産物には赤外線放射温度計で温度を計測する。この検査で今回のバラハタが見つかったわけだ。
検査所ではほかに、カキなど二枚貝のノロウイルス、食品添加物の適正使用、水銀やポリ塩化ビフェニル(PCB)などの残留物についても検査。26年度だけでしらす干から過酸化水素を検出したり、いなりずし弁当に表示記載のない着色料が使われていることを見つけたりなどの実績を挙げている。
職員には大学の水産学部や農学部の出身者が多いが、獣医の資格を持つ人もいる。自ら現場にも赴くという検査課長の永渕恒幸さん(52)は獣医で、築地に着任するまでは東京都中央卸売市場食肉市場(東京都港区)で長く検査を担当していた。
課長が胸のポケットに入れていたハンドブックを見せてもらった。約40ページの小冊子だが、有毒魚がずらりと並んでいた。
「これを頭にたたき込んで市場を回るんです」と永渕さん。例えば、今回問題になったバラハタはひれの先端が黄色くなっているのが特徴だ。過去には食べると確実に死ぬような魚が販売されているのを見つけ、食い止めたこともある。