素人目にも大変だなと思ったのが「フグ」。フグは肝にテトロドトキシンという強い毒を持つことで知られるが、何も毒は肝の部位だけにあるとはかぎらない。どんなに腕の良いフグ調理師が、どんなにうまくさばこうが、絶対に口にしてはいけない種もある。それが出回らぬように目を光らせるのだ。
「うちの職員なら百発百中、見分けますよ」とこともなげに話す永渕さんだが、記者にはトラフグ以外はさっぱりどれがどのフグなのか、分からなかった。
これほどの人数の専門職員を常駐させている市場は全国で築地だけ。それだけに彼ら、彼女らの両肩にかかる責任は重い。世界に誇る日本の食の安全を、縁の下で日夜支えているのだ。