石原伸晃経済再生担当相が2日に提出した経済財政白書は、「同一労働同一賃金」の実現や働き方の多様化といった労働環境の整備を進め、消費拡大と日本経済の潜在成長率の向上につなげるべきだと提言した。ただ、企業がこうした取り組みを進めるには資金面での余裕が必要だ。今後、こうした取り組みを、業績の苦しい地方の中小企業や零細企業にどこまで浸透させられるかが課題となる。
石原担当相は2日の記者会見で「中小企業や小規模・零細の事業者も、働く場所や時間を柔軟に選択できる仕組みをどう作るかが重要だ」と述べ、労働環境整備の動きが企業全体に広がる重要性を指摘した。
多様な人材の労働参加を促すため白書が提言したのは、賃上げや同一労働同一賃金、テレワーク、フレックスタイム、長時間労働の是正など、民間企業みずからの意識改革と努力が求められる項目だ。
ただ、こうした取り組みは「資金繰りに苦しむ地方の中小企業などは採用が難しい」(市場関係者)。
同一労働同一賃金で正社員の高い給与体系に非正規を合わせようとすれば人件費全体が膨らむ上、中小・零細企業は元請けから厳しいノルマを課され、自由な勤務体系が取りづらいのが現状だからだ。
この点に関し、石原担当相は「小規模の事業者などは支援していかなければならない」と述べ、政府としてもバックアップしていく考えを示した。
中小への波及に関し、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎主席研究員は「まず規制緩和した国家戦略特区で、どういった取り組みがうまくいくのかの検証を急ぐべきだ」と主張。中小にも有効なモデルケースを早急に構築する必要性を訴えている。