“軍事機密の塊”戦車の魅力は世界不変 ハッチから顔出し「戦場の気配」読む (2/5ページ)

2016.8.11 17:05

昭和59(1984)年、アバディーン兵器博物館(米メリーランド州)で、米軍のM4シャーマンと写る木元寛明さん(木元さん提供)
昭和59(1984)年、アバディーン兵器博物館(米メリーランド州)で、米軍のM4シャーマンと写る木元寛明さん(木元さん提供)【拡大】

  • 昭和45(1970)年、61戦車で神宮パレードに参加したときの小隊長時代の木元寛明さん(木元さん提供)
  • 90式戦車が表紙に登場する「戦車の戦う技術」(サイエンス・アイ新書)の書影
  • 「なぜ戦車は100年間、生き延びてきたのか。そこに明快な理念があったからです」と木元さんは言う

 戦史や戦車に造詣の深いブラッド・ピットが自らプロデューサーを務め温めてきた企画で、戦車長役を演じたピットが乗り込むM4も敵のタイガーIも実物が使用されている。

 「フューリー」で印象的だったのは、車長役のピットが、砲塔部のハッチから顔を出して戦うシーンがひんぱんに描かれていた点だ。戦車の砲弾や銃弾が飛び交う中、外へ顔を出して戦うのは危険ではないか、と想像しがちだが、木元さんはこう断言した。

 「戦場で車長は砲塔から顔を出さないと、戦車・戦車部隊は指揮できません。もちろんずっと出したままでは危険ですが…」と。

 現在の最新鋭戦車では、モニターや視察装置、センサーなどを使い、車内で座ったまま敵の位置などを確認できるが、「センサーには映らないものが戦場にはあるのです。そんな“戦場の気配”は、車長が顔を出して自らの眼で確認しなければ把握できないものなのです。100年の歴史を経ても、この事実だけは変わりませんよ」と強調した。

自衛官として一貫して“戦車戦”を極めたスペシャリスト、木元さんが…

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