
昭和59(1984)年、アバディーン兵器博物館(米メリーランド州)で、米軍のM4シャーマンと写る木元寛明さん(木元さん提供)【拡大】
戦車乗り=“タンカー”の誇り
木元さんはこれらすべての車種で車長を務めた、日本の戦車史を知り尽くしたスペシャリスト、陸自を代表する“タンカー”の一人だ。タンカーとは英語で“戦車乗り”を意味する。米国留学など世界各国を訪れ、世界の軍人と交流してきた木元さんは言う。
「外国の軍人とあいさつを交わす際、まず『あなたのブランチ(兵種)は?』と確認します。『タンカーだ』と、互いに戦車兵だと分かると、国境を越えて会話が進みます。戦車兵は特に戦車への愛着が強く、世界共通の戦車兵独特の気質があるんですよ」
海外の戦車史の研究者でもある木元さんが、こんな話を教えてくれた。
「ノブレス・オブリージュ-。これは元は仏貴族の言葉で“選ばれし者は、その義務と責任を負う”という意味です。これが歴代の独国防軍戦車兵に受け継がれてきたのです」