史上最強の戦闘機を再生産する案が米国で持ち上がっている。レーダーに映らないうえ、戦闘機としてほぼ敵機に後ろにつかれることのない機動性を持ちながら、高価格と世界的軍縮のため生産中止になった「F-22ラプター」について再生産を検討するよう、米下院が空軍に命じたのだ。実現すれば世界の軍事バランスを変えるのはもちろん、日本のステルス戦闘機配備計画にも大きな影響を与えそうな計画だが、再生産予算を調達できるまでにはまだ波乱がありそうだ。(岡田敏彦)
最強の翼が再び?
米軍事サイト「ディフェンス・ニュース」などによると、米下院が空軍に対しF-22ラプターの組み立て再開を検討するよう命じたことが4月19日に公表された。
F-22は、1985年に空軍が要求したATF(先進戦術戦闘機)案に米航空機メーカーのロッキード・マーチン(LM)社が応えたもので、試作機のYF-22は90年9月に初飛行した。レーダーに映らない特殊な外形と内部構造を有し、表面にも特殊な電波吸収材を塗布。空対空ミサイルなどの兵装は、従来のように翼の下に懸架する方式では敵レーダーに映るため、すべてを胴体内のウエポン・ベイに収納する方式を取った。