
“ローテク”先制医療【拡大】
例えば、疫学データを基に「喫煙は病気のリスク」といった啓発を行う予防医療は、「統計学的には正しいが、愛煙家でも病気にならない人もおり、必ずしも個々人には当てはまらない」と井村氏は強調する。このため、予防へ向けた禁煙、食事や運動などの生活習慣改善の動機付けになりにくい欠点があるという。
一方、先制医療は個人の遺伝的特徴や生育環境などをまず調べ、疾患ごとにハイリスクの人を抽出。最新の分析技術を駆使した超早期診断を行い、発症のはるか前に兆候をつかみ対処することを目標にしている。
先制医療では、対象者自らがハイリスクという自覚を持ちやすく、生活習慣改善の“挫折”も減る。井村氏はこれらのメリットを一般の人に知ってもらおうと今年2月、『健康長寿のための医学』(岩波新書)を刊行した。