「ピラミッド」崩壊事故から1年 ガイドライン策定で「変わる運動会」 (3/5ページ)

動画投稿サイトで公開された八尾の市立中学校の男子生徒が挑んだ10段ピラミッドの映像。この直後に崩壊した(ユーチューブから)
動画投稿サイトで公開された八尾の市立中学校の男子生徒が挑んだ10段ピラミッドの映像。この直後に崩壊した(ユーチューブから)【拡大】

 メインイベントとなる組み体操で、1~3年生の男子生徒157人による10段のピラミッドが崩壊し、1年生(当時)の生徒が右腕を骨折、5人が負傷した。その模様は動画投稿サイト「You Tube」で公開され、組み体操をめぐる議論が全国に広がっていった。

 「国全体でピラミッドなどの段数制限を設けるなど規制すべきだ」と訴える署名運動には1万人以上の署名が集まり、文科省も抜本的な対策に乗りだした。

 同省の調査で、小中学校や高校で起きた組み体操に関する事故について、平成23年度以降年間8千件以上もの災害共済給付が支給されていたことが判明。また、昭和44年度以降でも組み体操の練習中に9人が死亡していたことが明らかになった。

 このため今年3月、国として一律の禁止や制限はせず、各学校が教育効果と危険性のバランスを判断するよう求める通知を都道府県教委に出した。馳浩文科相(当時)は「一律に禁止というわけではない」と明言したが、その一方で教育現場には「確実な安全など確保できるわけがない」などと動揺が広がった。

「練習で習熟することで事故が確実に少なくなる」