遺産4200万円でも相続税 「実家の二次相続」で訪れる悲劇 (3/6ページ)

 そこで天野氏が選択肢のひとつとして提案しているのが、実家を「記念館」として残す方法だ。といっても一般に公開するわけではなく、母親や家族の記念品を集めて置くだけの場所である。それだけではあるが、「年に何回か親族が集まって、思い出話ができる場所があるというのはいいものです」と天野氏はいう。

 記念館は相続トラブルの防止にも役立つ。相続の際には資産の分割とともに親の思い出の品を形見分けする。金額に換算すればささやかでも、誰が何を引き継ぐかで感情的になり、もめることも多いという。「おかげで親族間の感情がもつれてしまい、遺産分割協議も始められないといった、深刻な対立に発展するケースも少なくありません」。

 実家を記念館として残すことにすれば、「遺品はひとまず記念館に」ということができるので、形見分けトラブルのリスクは回避できるというわけだ。

 また、これまで相続税とは無縁だった人たちが課税対象になるため、相続税に詳しくない税理士に申告を依頼し、必要以上の相続税を支払ってしまう例も増えたという。

 「私どもでは相続税の申告のやり直しをお手伝いするケースも多いのですが、これまでに340件で総額91億円の還付がありました。平均すると2647万円です」

なぜ、そんなに払いすぎてしまうのか。多くの場合、不動産の評価が…