睡眠不足は太る
「ハフィントンポスト」(現・ハフポスト)をアメリカで立ち上げたアリアナ・ハフィントン氏の著書『スリープ・レボリューション』では、自身の睡眠時間が短かったときに発生したトラブルや、数々の研究結果などを報告し「寝たほうがパフォーマンスは良くなる」と断言する。さらには「睡眠負債」同様、睡眠不足が身体に悪影響を及ぼすと指摘する場面も登場する。
<睡眠不足は免疫系を弱らせるので、風邪などのありふれた病気にもかかりやすくなる。職場では、従業員が疲れているときは、少し長めに眠って遅刻してもらうほうが、後になって数日病欠されるよりは会社にとってもいいかもしれない。ましてや、その従業員が無理に出勤してくれば、他の人に病気をうつす可能性だってある>
<睡眠不足は体重コントロールにも大きな影響を及ぼす。メイヨークリニックが1週間かけて行った実験では、睡眠を制限された被験者はそうでない被験者に比べて1日あたりの摂取カロリーが559キロカロリー多く、体重増加も大きかった。また、一晩あたりの睡眠時間が6時間の人は体重超過のリスクが23%高い。そして4時間以下になると、リスク上昇は73%にも達する>
「プロとして、寝る」という自覚
ここまで繰り返してきたように、睡眠不足は極めて危険な状態であり、心身ともに人間を蝕む愚行であるといえる。この際、「睡眠不足自慢」は社会全体で「ダサい」「危険」といった認識を持つようにしてしまえばいい。そして、「十分に寝る人こそ素晴らしい」と評価し、褒めるような風潮をつくっていってはいかがだろうか。政府主導の「働き方改革」も案外こういったところから始まるのかもしれない。「残業は100時間以下」などと提唱するだけで悦に入っている場合ではないのである。自宅で十分に睡眠をとり、職場でも臨機応変に午睡をとるような人を白眼視しない--そんな感覚を“当たり前”のことにするのだ。