渋滞トンネルで多重事故 2人死亡 広島・山陽道 トラック追突、5台炎上・71人負傷
17日午前7時半ごろ、広島県東広島市の山陽自動車道下り線の八本松トンネル(約840メートル)内で渋滞の列にトラックが追突し、車12台が絡む事故が発生した。トラックと乗用車の計5台が炎上。2人が死亡したほか、東広島市消防局によると、煙を吸うなどして71人が負傷した。ほとんどは軽症。
事故が起きたのは、岡山から広島市方面へ向かう下り線の、広島側出口から約200メートルのトンネル内。県警などによると当時、下り線は未明に起きた別のトラック同士の追突事故で2車線のうち1車線が通行止めとなり渋滞が発生。前方に停車していた車に後続のトラックが次々と追突し、トラックなどが炎上した。
県警によると、広島県竹原市港町5丁目の会社員、丸岡節枝さん(65)が脳挫傷で死亡したほか、焼けた乗用車の車内から性別不明の1人の遺体が見つかり身元を調べている。
現場にいた車の運転手は「前の車がハザードランプをつけていたので、渋滞だと思いスピードを緩めた。後ろからトラックが突っ込んで来ようとしたので、右によけた」と話している。
県警は、追突したトラックの運転手らから事情を聴くなどして、事故の詳しい状況を調べる。
トンネルからは煙が激しく上がり、数十人がトンネル外に避難。消防が救助活動に当たった。火災は午前9時50分ごろ鎮火。トンネル内には、事故に絡んだ車を含む計60~70台が残されていた。
現場は上下線で別々のトンネル。西日本高速道路によると、下りのトンネル内は緩やかな左カーブの下り勾配。スプリンクラーはなく、消火栓と消火器が50メートルおきに設置してあるという。
現場は山陽新幹線東広島駅の北西約10キロ。山陽道は下りの西条-志和間、上りの広島東-西条間が通行止めとなった。
≪視界ふさぐ黒煙 火柱は天井まで届く≫
オレンジ色の火柱はトンネル内の天井まで届いていた。爆発音とともに立ち込めるプラスチックが焼けるような臭い。視界は黒煙で奪われた。「早く逃げろ!」。暗闇で、誰かが叫んだ-。17日朝、広島県東広島市の山陽自動車道下り線で起きたトンネル事故の状況を、現場に居合わせた人たちの証言で再現した。
激しい光 直後に爆発音
午前7時半ごろ、市街地北部の山を東西に貫く八本松トンネルは別の事故で渋滞し、最後尾の車がハザードランプをつけていた。異変があったのは、広島県三原市の女性会社員(39)が車列の後方で、走行車線に車を止めた直後だった。
突然、激しいクラクションが耳をつんざいた。緊張が走り、反射的に体をシートに押しつけたままバックミラーに目をやると、「突っ込んでくるトラックが見えた」。
県警によると、トラックは女性の車を巻き込み、前方の軽乗用車など十数台に次々と衝突。うち1台の兵庫県宍粟市の男性会社員(43)が車から降りると、オレンジ色の激しい光が目に飛び込んできた。「ドーン」。爆発音とともにトンネル天井に届く火柱が上がった。
「プラスチックが焼ける臭いがした」。現場にいた男性会社員(36)によると、当初、トンネルの消火器で火を消そうとした人もいた。しかし火の勢いが勝った。「早く逃げろ!」。誰かの叫び声が飛んだ。
出口まで数百メートル歩く
「普通に息を吸うと危ない」。炎から逃れるように脱出を始めた別の男性は、とっさに手で口を覆った。煙が充満し、すすが舞っていた。
広島市の男性会社員(50)も避難を始めていた。最初に上がっていた白煙は、いつの間にか黒煙に変わり、視界を奪う。「白線を頼りにしろ!」。どこかから声が聞こえた。足元の車線に目をこらし、トンネルの壁の手触りを手がかりに出口を目指した。
別の男性ドライバー(40)によると、当時の現場は「他の車のヘッドライトも見えない状態」。照明や非常灯にも気付かなかった。
地元消防の記録では、ほとんどの人が避難を終えた午前8時20分時点でも真っ黒な煙がトンネル出口から噴き出していた。現場から出口までは数百メートル。避難にかかったのは数分程度とみられるが、暗闇を歩く時間はそれ以上に感じたという。東広島市の女性会社員(51)は「事故の瞬間よりも、暗い煙の中にいる時間のほうが、はるかに怖かった」。(SANKEI EXPRESS)
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