死者多数 「無差別攻撃受けた」報復か

ベルギー同時テロ
爆破テロが起きたブリュッセル国際空港に居合わせ旅行者が撮影した建物内部の写真。吹き飛んだガラスの破片が床に散乱している=2016年3月22日、ベルギー(AP)

 欧州が再び同時テロの惨劇に見舞われた。ベルギーのブリュッセル国際空港と市内の地下鉄駅で22日朝、連続して爆発があった。地元メディアによると、空港での死者は少なくとも14人、地下鉄駅でも少なくとも20人が死亡した。負傷者は計約130人に上るとみられる。検察当局は、いずれの爆発も「テロ攻撃」で、うち空港は自爆テロと断定。内務省は対テロ警戒水準を4段階の最高に引き上げた。昨年11月に130人の犠牲を出したパリ同時多発テロの実行犯の容疑者をベルギー警察が18日に拘束したことへの報復の可能性が浮上している。

 アラビア語で叫ぶ声

 「どこもかしこも血だらけだ」「ものすごい爆発音がして、空港のビルが大きく揺れた」

 空港に居合わせた人々は顔から血を流して逃げ惑い、一瞬にしてパニック状態に陥った。ビルからは黒煙が立ち上り、出発ロビーの窓ガラスが粉々に吹き飛び、天井が落ち、スーツケースが散乱。メディアが伝えた映像は、爆発の威力のすさまじさを物語っていた。

 報道によると、空港での爆発は出発ロビーの重量超過荷物を扱うカウンターの近くと、続いて近くの喫茶店付近で起きた。英BBC放送などは現場にいた人の話として、「爆発の直前に、アラビア語で何か叫ぶ声と銃声が聞こえた」と伝えた。爆発を受け、空港は航空便の離着陸を停止して閉鎖された。

 「恐れていたことが」

 一方、欧州連合(EU)本部に近い地下鉄マールベーク駅でも爆発があり、市内の地下鉄駅は全て閉鎖されたほか、ブリュッセルのバス、路面電車も運行を停止した。

 メディアの映像では、地下鉄とみられる車両がひしゃげて黒焦げになっており、強力な爆発物が使われたことをうかがわせた。居合わせた男性客は、顔に付いた血をぬぐいながら「大きな爆発だった。車両の中にはたくさんの人がいた」と話した。

 ベルギーのミシェル首相は記者会見で、「恐れていたことが起きた。無差別攻撃に襲われた」と述べた。

 実行犯拘束に対抗

 ベルギーでは18日に、ブリュッセル首都圏のモレンベーク地区で、パリ同時多発テロの実行犯の一人として国際手配され、逃亡していたフランス人のサラ・アブデスラム容疑者(26)が拘束されたばかりだった。実行犯とされる10人のうち唯一の生存者で、当局はこれを機に、パリ同時多発テロで犯行声明を出したイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)の欧州ネットワークの解明と壊滅など対テロ作戦を強化する構えだった。

 一方でベルギーのレインデルス外相は「アブデスラム容疑者らが別のテロを準備していた恐れがある」と指摘。ヤンボン内相は「一つのグループの犯行を阻止すれば、他が行動を起こす」と述べ、別グループの新たなテロへの警戒を示していた。BBC放送は、容疑者拘束への「報復」との見方が出ていると伝えた。

 貧困層の多いブリュッセルのモレンベーク地区はパリ同時多発テロの複数の実行犯の出身地で、武器を取引する「闇市場」も存在。「EUの首都」はテロの危険から隣り合わせにある。(SANKEI EXPRESS