【軍事情勢】
陸海空3自衛隊の退役将官5人に過日、長時間にわたりレクチャーを賜った。受講を終え、小欄は「何か」を思い出そうとしていた。
レクチャーは、安全保障の研究・政策提言などを行う日本戦略研究フォーラム(JFSS)が立案した国防戦略に関してで、政府が年内策定を目指す、長中期的防衛力整備の指針《防衛計画の大綱》への影響が期待される。自民党も6月11日に安倍晋三首相(58)に素案を提出したが、北朝鮮による核・ミサイル開発を踏まえ策源地(敵基地)攻撃能力保持の検討なども求めており、評価できる内容に仕上がっている。だが、JFSS案は自民党案がカバーしていない部分も少なくなく、JFSS案が反映されれば、大綱の実効性はより高まる。
一方でJFSS案には、周辺の敵性国家に対する政治・外交的配慮が必要ないことから、直接大綱に取り込めない部分もある。ただ、現役時代の経験・反省に立った退役将軍たちの軍事的合理性を外さない主張に、政治は常に自衛官を身近に置き、国家戦略立案や政治決定の過程で公式に地位・任務を与え、戦争・戦闘に備えるべきだと、あらためて実感した。