通底するのは《米国との同盟関係の深化によって防衛力の不備を補完しつつ》、軽視されてきた《骨幹戦力たる打撃力、撃破力の充実》などによる《自分の国は自分の力で守る/主体性を持った強靱な防衛力構築》。3自衛隊の立体的/合理的運用を追究・追求する《統合》マインドの維持と、戦力を最大限発揮できる《統合》体制・態勢整備も《強靱な防衛力構築》への手段として強調している。
もっとも、退役将軍たちに気負いはない。その分、具体的国名=中国を挙げて《武力紛争が何時生起してもおかしくない『危険な10年』に入った》との書きぶりが、現実味をもって迫ってくる。それでいて緊張感と、緊張感をはじき返す熱情にあふれる。冒頭に提起した「何か」が何か、ようやく思い出した。フランス大統領シャルル・ド・ゴール(1890~1970年)が、士官学校卒業式に臨み行った訓示だった。
2ド・ゴールの名訓示
「軍職とは、時代により評価や地位の変動が激しい職業だ。とりわけ戦時/平時の格差が大きい。戦時は適度に尊重され、平時には過度に軽視される。それだけに、軍職に就く者は悲惨な戦争を戦う勇気とともに、長い平和に耐える勇気が必要となる。平和が続く中、戦争に備え続ける忍耐が必要なのだ」