中国にとり南西諸島は、台湾や朝鮮半島での有事に際し来援する可能性のある米空母打撃群を迎え撃つべく、航空・海上優勢獲得に向けた《出城》。同時に、米国を牽制する核ミサイル搭載の戦略原子力潜水艦を潜ませる南シナ海という《聖域を守る壁》でもある。南西諸島の一部でしかない《尖閣諸島は南西諸島を確保または軍事的に無力化するための橋頭堡であり、米国の関与を弱める足掛かり》に過ぎない。
逆説的には《南西諸島を日本が堅守することで、米軍来援を確実にし、日米の反撃においては中国の侵攻を封じ有利に決戦を進めることができる》。そもそも、南西諸島は《日本の政治・経済の核心である太平洋ベルト地帯を守る最初で最後の防護壁》ではないか。
2迎えた「危険な10年」
そのために、3自衛隊内部や日米における作戦・運用や組織面での《統合》達成を重大な課題と位置付ける。島嶼奪回も想定するが、戦力増強による抑止と先制・先取を当然ながら優先。従って《島嶼への高速大量海上・空中機動力/輸送力》の飛躍的向上を訴える。中国が動けば北朝鮮も連動する《複合事態対処》も指摘した。斯くなる作戦達成に向け、配備すべき具体的兵器にまで言及し「論」に陥りやすいこの種の提案を「設計図」へと昇華させている。