2中国の「9つの出口」
JFSS案における優れた専門的知見は、予見される戦場の範囲にも端的に表れた。確かに、保守系国防関係議員が抱く国際情勢への見識は深くなっている。中国の海洋当局や海軍による領海・領空侵犯や異常接近が激増している沖縄県・先島諸島(尖閣諸島や宮古・石垣・与那国各島など)の防衛態勢強化を、自民党案が打ち出しているのも見識の表れに他ならない。
しかし、JFSS案は九州南部から台湾東側までの南西諸島全域や長崎県の五島列島/対馬までを作戦対象とする。
説明が必要だ。中国の国際情報週刊紙・国際先駆導報は2010年、中国が海洋進出する際の《9つの出口》を掲載した。出口のうち、5つが日本絡みで、さらに5つのうち4つが南西諸島の間を、1つが対馬近海を突破するコース。JFSS案は《(9ルートは)すべて最近の中国海軍の活動と一致しており、9つの出口を自国のコントロール下に置くことが意図》と分析。《特に南西諸島は、中国にとって死活的に重要で、有事の際少なくとも軍事的に占領ないし無力化が必須》と断じる。