エジプトの内乱の解決方法を論じた8月20日付英フィナンシャル・タイムズ紙(FT)は《エジプトに必要なのは民主主義より内戦回避》と題した記事の中で、こう言い切った。
《唯一残された手段は、一方が勝利を収めることだ》
FTは《今のエジプトで民主主義の回復追求は非現実的》と悲観的だ。なぜなら-
(1)エジプト軍は明らかにムスリム同胞団と決着を付けようとしている(2)選挙が平和ムードで行われ、敗者が冷静に選挙結果を尊重するなど想像できない。
従って《おぞましい現実に目を向け、互いに相容(い)れない数多くの目標に優先順位を付けねばならない》。《投票箱の登場より、社会の安定を優先させるべき。政治抑圧や自由の否定を見たくはないが、内戦に比べればマシ》《無秩序状態長期化はテロを生み最も危険》だからだ。
斯(か)くして《軍に速やかな民主主義への回帰を迫るより、むしろ人権保護と公明な政府の復興に向け、次善の策を採るべき》と、冒頭の結論を導いた。
文民統制拒絶が国民救う
そもそも、わが国で「シビリアン・コントロール=文民統制」と呼ばれる《政治による軍の統制》は必ずしも、大多数の日本国民が信じて疑わぬ「民主主義の象徴」などではない。国家・国民と軍の体質で、合理的政軍関係は決まるのだ。