アブナイ「小皇帝」
「小皇帝」と呼ばれる一人っ子の存在もその一つ。一人っ子全てではないが「過保護に育てられ、わがまま・非協調性」が目立つ一人っ子を指す。軍の行動は《私権抑制と高い協調性》を基本とする。最も軍に馴染まぬのが小皇帝だ。だのに、小皇帝を含め一人っ子は軍内に10万人も在籍。1979年生まれなら34歳、90年代前半なら成人で、前線での主力と期待される世代となった。
《私権抑制と高い協調性》の欠如は小皇帝に限らず、一人っ子世代の特徴でもある。経済の飛躍的向上で、有力な稼ぎ先として人気だった軍も、他の就職先や学業の場に魅力を完全に奪われた。若い世代は「価値観」という自我に目覚め「厳しい規律や訓練はイヤ」と。一人っ子を溺愛する親なら尚「何もそんな苦労をさせなくとも」となる。
斯(か)くしてアノ手コノ手で兵役逃れが横行する。もっとも、生活が向上し、甘やかされて育つ若者の肥満や近眼の比率も高い。北京市が行った志願兵募集では、志望した大学生の6割が不合格となった。党が指導する青年組織の機関紙によると、市内の大学で3500人が参加した2週間の軍事教練では、延べ6000人超がケガやめまいを「理由」に医療機関に駆け込んだ。