外交への影響力なし
さらに記事は、〈次に、「フィフティ・フィフティ」で、地元を尊重した解決策を練る。北方領土なら、たとえば、歯舞・色丹両島の返還と、国後島西端の自由港化などを組み合わせて、根室などと一体で地域振興をはかる〉と、解決策について紹介している。まさに「バナナのたたき売り」のような発想で、平和条約交渉を始める前から、国後島、択捉島の日本帰属を諦めろということだ。領土は国家の礎だ。岩下教授には、国家の論理が皮膚感覚で理解できないようだ。さらに岩下教授は〈「静かな方が領土問題は解決すると思いしばらく沈黙しましたが、この数年、状況が悪くなりすぎた。発言せざるを得なくなりました」〉と述べている。
率直に言うが、岩下教授が何を語ろうと日本の外交政策に影響を与えるような状況は過去に一度もなかったと思う。岩下氏は、「状況が悪くなりすぎた」から北方領土問題について「発言せざるを得なくなった」のではなく、自己の都合で発言のタイミングを選んでいるに過ぎない。岩下教授は、再び政治ゲームに参加した。岩下教授の政治的狙いが何であるか、今後、注意深くウオッチすることにする。(作家、元外務省主任分析官 佐藤優/SANKEI EXPRESS)