【ソーシャル・イノベーションの現場から】
「父が教師だったことから、知らず知らずのうちに良い教育とは何だろうと考えるようになった」と話すのは、早稲田大学1年生の森山健太さん(18)。試験の成績だけが重視されがちな現在の教育に疑問を抱き、生徒の心の変化や成長を客観的に評価できる「指標」を作ろうと考えた。
実体験を通した経験値
森山さんら早大の学生たちは今夏、2009年から筑波大学付属坂戸高校で行われている主体的に行動できる人材の育成を目指したプロジェクトに参加した。坂戸高校と「日本財団学校プロジェクト」(通称・学プロ)が共同で行っているもので、「FEEL(課題認識)」「THINK(課題解決方法の計画)」「ACT(計画の実行)」「SHARE(情報共有)」の4つの要素を取り入れたプログラムを実施。今年も夏休みを活用し、2年生を対象に2カ月間の授業が行われた。
生徒たちは「登下校で通用門を利用したい」「購買部でお手軽なデザートを買いたい」といった身近なテーマを設け、意見を出し合い、解決策を探る。それぞれの提案には正解もなければ間違いもない。