「あの時と同じ」
目の前の惨状に2人は2年7カ月前の記憶がよみがえった。
東日本大震災。津波は名取市閖上(ゆりあげ)地区にあった勝萬さん宅をのみこんだ。絶望する夫妻を、勝さんが励ましてくれた。交通網が混乱する中、島からフェリーや飛行機を乗り継ぎ、勝さんは水や食料をたくさん背負ってきた。芳枝さんは孫の写真を持ってきた。「(勝さんは)短気だけど優しい子。芳枝さんも良くできた嫁でね」(照子さん)
サッカー少年だったという。東北高校で1年生からレギュラーを務め、県の優秀選手に選ばれたこともある。そのトロフィーは津波で台座部分を失ったが、夫妻は残りを見つけ、大切にしている。
高校を卒業した勝さんはクリーニング店を経営していた勝萬さんの後を継ごうと、東京に修行に出た。そこで乳業メーカーに就職し、島から上京していた芳枝さんと出会った。