芳枝さんは1人娘で、勝さんは婿養子になった。約15年前、島に移り妻の実家近くに居を構えた。芳枝さんの父、雄司さん(74)は「親を頼ろうと思ったはず」と冗談めかすが、勝さんは建設会社に勤め、一家は平穏に暮らしていた。その日常を土石流が奪った。
重傷の次女は病床で両親を気遣うが、まだ現実は伝えていない。まな娘の遺体と対面した雄司さんは「早すぎるよ。これからどうしよう」と語りかけた。その様子をかたわらで見守った照子さんがつぶやいた。
「津波の次は、山の津波にのまれちゃった」
≪72時間の壁「一刻も早く助けたい」≫
大島町消防団北の山分団員、森田彰人さん(23)は10月18日も、神達(かんだち)地区で捜索活動にあたっていた。「72時間」を前に、「少しでも助かる人がいるならば」とスコップを握る手に力を込め、少しずつ土砂をのぞいていく。
雨がぱらつき、再び土砂崩れが起きる危険性があるため、安全監視員が配置された。はるか南の海上では台風27号が北上中で、日本をうかがっている。