伊藤教授と同じく、財務省寄りだが、国際金融市場で豊富な人脈を持つと筆者が評価してきた某有力エコノミストに最近会ったら、彼はすっかり青ざめていた。「消費増税決定後、ニューヨークやロンドン市場を本拠にする投資家たちと意見交換した。かれらは何と、日本は緊縮財政に傾いていると判断し、日本株売りを考慮し始めた。意外だ」と打ち明ける。このエコノミストは、消費税増税をすれば、日本政府の財政再建への決意が国際的に認められると信じてきたのだが、国際評価は「日本売り」であることが分かり、がく然としたのである。
「外部の日本を見る目」には本来、実体はない。とりわけ、海外の投資家の声というのは、「ポジション・トーク」と称され、売買利益を追求するために有利な情報を意図的に流し、相場を上げ下げさせようとたくらむ。消費増税が日本の景気を下降させ、税収を減らして財政再建を困難にすることは、1997年度の「橋本増税」後の15年デフレでもはっきりしているのに、財務省は増税批判に対抗するために、海外投資家のポジション・トークを国内の学者やエコノミスト、メディアにそのまま流してきた。