心配をかけたくない、同情されたくないという気持ちもありました。顔の表情は、自分の意思から出ます。当時の私は必死に笑顔を作っていましたが、ときに強がったり、ときに悲しさを抑えたりもしていたので、そんな雰囲気も出ていたかもしれません。だけど、笑顔でいることで気持ちが前向きになれたのも事実です。「暗いときに暗い表情をしていてもマイナスでしかない」。そう思って、前だけを向くようにしました。
振り返れば、入院中には、同じような人たちにたくさん出会いました。私より病状が重かったり、手術すらできなかったりする状況のお兄さんやお姉さんが、いつも笑顔で接してくれました。不安がない人なんていなかったはずです。「人間は困難を乗り越えようとするとき、そうなるのかなあ。これ以上のつらさを感じないように、自分で自分を守るために感情にふたをするのかなあ」。そんなことを思わされる日々でもありました。
人を元気にする力
もう一度、心から自然に笑えた瞬間は、義足を装着して走ったときです。